白馬岳~唐松岳(2,695.9m)縦走 2日目 (長野県白馬村/富山県黒部市)/ 単独


白馬鑓ヶ岳から南へ続く縦走路

テント場 5:00 - 白馬鑓ヶ岳 6:30 - 天狗ノ頭 7:35 - 不帰Ⅱ峰 9:40 - 唐松岳 10:30 - 唐松岳山荘 10:50~11:10 - 八方池山荘 12:40


15日 - 縦走二日目

3時半、周りのテントが騒がしくなって目が覚めた。外はまだ暗いが、テントから顔を出すとオリオンが見えた。一面の星空で、西の空には月が白く輝き、雲ひとつ見えない。この分なら、今日も少なくとも午前中は雨の心配はなさそうだ。

食事を済ませてテントを撤収。夕べの雨と明け方の結露でフライシートはびっしょり濡れていたが、雨が降っているわけではないので撤収は楽だ。

パッキングを済ませて、予定通り5時に行動開始。

テント場のすぐ後ろにある丸山に登ると、ちょうど朝日が昇ってくるところだった。西に目をやると、剱岳が赤く染まり、毛勝三山の上に白い月がかかっていた。これから向かう先には杓子岳と白馬鑓ヶ岳がどっしりと構え、遠くには鹿島槍や穂高連峰まで見えて、最高の縦走日和になりそうだ。

 

最初のピークの杓子岳は、先の行程を考えて巻き道を使ってパスしたが、二番目のピーク、白馬岳は黒部市の最高峰なので山頂を踏んでおく。白馬鑓ヶ岳を下って鑓温泉分岐はそのまま直進。鑓温泉分岐を通過して間もなく天狗山荘に到着。小じんまりとしたこの小屋は、白馬山荘や村営頂上宿舎と違って、良い雰囲気だ。ここで冷たい雪解け水を補給し、先へ進む。

天狗の頭を通過、しばらくなだらかな稜線散歩を楽しんだ後、いよいよ天狗の大下りに差しかかる。下り始めは足場の悪いクサリ場が連続する。それからザレ場を延々と下ると、不帰キレットのコルに降り立つ。これからが、核心部の不帰ノ嶮だ。

不帰Ⅰ峰は、取り付きこそ急で手足を使うが、それ以降はハイマツ帯を快適に登ってピークに立つ。Ⅰ峰からはⅡ峰北峰の岩場を一望できる。どこにルートがあるのかと思うほどの岩壁だが、ちょうど先行するパーティがいたので、ルートを詳細に観察することができた。

Ⅱ峰の取り付きで対向してくるパーティの到着を待ち、全員が通過し終わってから岩場に取り付く。最初のクサリ場は数十メートルを直登し、そこから左手へトラバースして狭い岩棚を登りながら右へ回り込む。さらに左に向きを変えて鉄のハシゴを渡るとクサリ場は一段落し、しばらく信州側の狭い岩棚をトラバースしていく。急峻な岩場ではあるが、潅木が茂っているのでそれほどの高度感は感じない。岩棚のトラバースが終わり、岩角を右に回りこむと再びクサリ場が現れて、20mほどの岩場を登ると狭い岩尾根の上に出て、それを越えるとⅡ峰北峰のピークで、これで核心部は終わる。

Ⅱ峰北峰のすぐ目の前にⅡ峰南峰が控えているが、もう危険箇所はない。Ⅲ峰は富山県側を巻いて通過すると、唐松岳の山頂が目の前に迫って見える。

後は、単調に高度を稼いで10時30分、大勢の登山者が寛ぐ唐松岳山頂に到着した。

予定よりも早く唐松岳に到達できたので、唐松岳山荘で生ビールで乾杯することにして山頂を素通りし、小屋へ急いだ。

唐松岳山荘の生ビールは、なんとグラスまでキンキンに冷やしてあり、感動のあまり思わず手が震えそうになった。小屋の前のベンチで剱岳を見ながら(このときは既に雲に隠れてしまっていたけど、)一人祝杯をあげた。

後は、八方尾根を下って八方からバスで栂池高原に戻るだけ。

歩き慣れた道ではあるが、気を引き締めて下山ルートに入る。稜線を離れて信州側に下りると、信州側から昇ってきたガスの中に入ってしまう。昼に近いこの時間帯は、まだ登って来る登山者のほうが多いので、山荘直下のトラバースですれ違いの待ち時間があったが、後は順調に進み、予定より早く八方池山荘に到着した。

八方バスターミナルから栂池高原行きのバスに乗り、栂池スキー場に戻る。ゴンドラ乗り場の栂の湯で二日間の汗を流して帰途についた。

北小谷を過ぎるころ雨になった。局地的な夕立のようだったが、山で雨に遭わなくて本当に良かった。

やまねこN

棲息地:富山県黒部市

分類:♂

種別:中高年登山者

特徴:単独で山にいることが多い。

[行動範囲]

富山県東部と北アルプス北部を中心に、冬は低山、春から秋にかけては高山地帯に出没する。

まれに、北アルプス南部やもうちょっと遠い山域にも出没する。ランニングや自転車でそこらへんを駆け回っていることも多い。

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