甲斐駒ケ岳 2,966m(山梨県北杜市)/単独


登り続けること7時間。ついに甲斐駒ケ岳の山頂が見えた。

竹宇登山口 4:40 - 笹ノ平分岐 6:25 - 刀利天狗 7:50 - 七丈小屋 9:30 -

 山頂 11:30~12:00 - 七丈小屋 13:00 - 刀利天狗 14:15 - 登山口 16:25


前回の山行からひと月。そろそろ山へ行きたいが、日本海に停滞する前線の影響で北アルプスの天気は不安定なので、思い切って南アルプスの甲斐駒ケ岳へ遠征することにした。黒戸尾根ルートは、剱岳早月尾根、富士山御殿場ルートと並ぶ標高差2,200m超の三大急登。これを日帰りする。

 

登山口の竹宇神社(標高780m)を4:40に出発。

尾白川の吊橋を渡り、つづら折れの登山道をヘッドライトを頼りに登っていく。木々の間から朝の光が差し込み、単調な登りに飽きてきた頃、小さなピークを越えて横手登山口のルートと合流する。ここから刃渡りの岩場まで、八丁坂と呼ばれる笹原の中の単調な登りが続く。刃渡りを過ぎるとハシゴや鎖が現れて登山道に変化が現れる。狭い岩場を鎖で越えて刀利天狗、標高2,049mに到着。ここまで3時間20分。

 

刀利天狗を過ぎると黒戸山の巻き道に入る。苔生した登山道が日本庭園を思わせる。少し下って五合目小屋跡の広場。正面に五丈岩と呼ばれる垂直の岩場があり、その右手に掛かる長いハシゴを登って尾根の背に立つと、木立の間から雲海に浮かぶ地蔵岳のオベリスクと富士山が見えた。

狭い鞍部を桟橋を渡ると、尾根は一気に傾斜を増して屏風岩に突き当たる。狭い尾根が垂直の岩場に塞がれているので、その基部を桟橋で回り込み、その先端から垂直の垂直の長いハシゴで岩場を乗り越える。岩場を乗り越えても尾根の傾斜は緩まず、一気に高度を上げながら左手にトラバースして行くと、やがて七丈小屋に到着する。

 

七丈小屋から御来迎場の展望地までの間は、展望の無い潅木帯の中を登って行く。時折ガスが湧いてきて、あたり一面を真っ白に覆ってしまい、今日の展望はダメかと、ちょっとテンションが下がる。しかし、ちょうど御来迎場に到着するころに、カーテンを開けるようにガスが切れて展望が開けた。

登り始めて6時間、ようやく甲斐駒ヶ岳の山頂を直に捉えた。先はまだ長いが、山頂が見えると元気が出てくる。

 

御来迎場を過ぎると、花崗岩の岩場に次々とクサリ場が現れる。二本剣を過ぎ、ルンゼ状の長いクサリ場を越えると尾根が広くなって傾斜が緩む。白い花崗岩にハイマツの緑と紅葉の始まったウラシマツツジのコントラストが美しい。花崗岩の斜面を斜上し、再び山頂が見えた時、それはもう目と鼻の先で、稜線を越えて流れていくガスの向こうに、山頂の祠とその周りに佇む登山者達がシルエットになって見えた。

 

11:30、登り始めて7時間で甲斐駒ケ岳の山頂に到着。長かったが、予定のタイムより30分早かった。

山頂は、大勢の登山者で賑わっている。大半は北沢峠から登ってきたようで、こうして見ている間にも続々と人が登ってくる。ガスはすっかり晴れて、仙丈ヶ岳が優雅な山容を見せている。雨の中、北沢峠から仙丈ケ岳に登ったのは、もう20年近く前のことだ。でも、その翌日に登った甲斐駒ケ岳は快晴だった。

 

下りも長丁場になるので、30分ほど休憩して下山を始める。

映像を巻き戻すように、登ってきた道を下っていく。想像していた通り、下りも長くてつらい。特に刃渡りの岩場を過ぎると景色の変化が乏しくなり、単調なつづら折れが延々と続くので、稜線を歩くより疲れる。

そして16:25、登山開始から11時間50分、計画より1時間早く登山口に到着した。


やまねこN

棲息地:富山県黒部市

分類:♂

種別:中高年登山者

特徴:単独で山にいることが多い。

[行動範囲]

富山県東部と北アルプス北部を中心に、冬は低山、春から秋にかけては高山地帯に出没する。

まれに、北アルプス南部やもうちょっと遠い山域にも出没する。ランニングや自転車でそこらへんを駆け回っていることも多い。

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